トピックス

<民法(債権法)が4月1日から変わりました>|2020年4月第163号より|

2017年に成立した「民法の一部を改正する法律」が4月1日に施行されました。
民法制定から120年が経過し、債権法について現代の社会や経済情勢と合わなくなっていることから、その変化への対応を図るための変更が行われ、また、現在の裁判や取引で通用しているルールが条文上で明確になりました。
法務省のホームーページ(http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_001070000.html)にも改正内容が具体的に掲載されていますが、あさひでも今号から数回にわたり主な改正事項をご説明します。

【消滅時効】

原則、「知った時から5年、権利を行使することができる時から10年」に時効期間が統一され、いずれか早い方の経過により時効が完成します。
今までの飲食料は1年、建築の工事代金は3年といった職業別の消滅時効や、5年の商事時効は廃止されました。
生命・身体の侵害による損害賠償請求権については、「知った時から5年、権利を行使することができる時から20年」とする特則が設けられました。

【時効の中断・停止】

時効の中断(時効期間がリセットされゼロからスタート)が「時効の更新」に、時効の停止(時効がその時から6箇月間完成しない)が「時効の完成猶予」に用語が変更され、内容も見直されました。
時効の更新の主なものとしては「裁判上の請求」「差押え」「債務承認」、時効の完成猶予の主なものとしては「仮差押え」「仮処分」「催告」等です。
また、天災等による時効の完成猶予期間が、障害が消滅した後2週間から3ヶ月に伸長され、当事者間で権利について協議を行う旨の合意が書面でされた場合は、時効の期間が1回につき最長1年、通算で5年間まで猶予できるようになりました。

改正法に関する経過措置も定められています。施行日前(3月31日)に債権が生じた場合については従前どおり、施行日以後(4月1日)に発生した債権に関しては改正法が適用されます。なお、施行日以後に債権が生じた場合であっても、その原因である法律行為が施行日前にされたときは従前の規定が適用されます。例えば、施行日前に請負契約が締結され、施行日以後に業務の完成に伴い報酬債権が発生した場合は従前の例になると考えられます。

関連記事

コメントは利用できません。