遺言書作成のすすめ

遺言書を作成することで、様々なメリットがあります。
今回はそのメリットをご紹介いたします。

①相続人間のトラブルを事前に回避できる

仲のよい親族であっても、相続が開始し、遺産分割協議をすすめる間に、その関係性が変わってしまうことがよくあります。もともと親族間の関係性が悪いのであればなおさらです。事前に遺言書で誰に何を相続させるか明確に記載をすることで、そのトラブルを回避することができます。

②相続人以外の人に遺産をあげることができる

遺言書がない場合は、相続人のみが遺産を相続する権利がありますが、遺言書があれば、相続人以外の人に遺産を渡すことが可能になります。内縁の妻や孫に遺産を分けたい場合は必ず遺言書を作成する必要があります。ただし、相続税が発生する場合は相続税が2割加算されますので注意が必要です(詳細は税理士にご相談ください)。

③戸籍や印鑑証明書取得の手間が省ける

相続が開始すると、相続人は、預貯金の解約や不動産の名義変更などの相続手続をするために、故人の相続関係を特定するすべての戸籍や相続人全員の印鑑証明書等を取得する必要があります。代襲相続などで相続関係が複雑な場合は、必要となる戸籍の通数も多く、その取得に手間がかかることがほとんどです。また、印鑑証明書も相続人全員の分が必要となります。
遺言書を作成しておけば、戸籍は故人(死亡の記載のある)と遺産をもらう人のもののみで、印鑑証明書は遺言執行者や遺産をもらう人のもののみで対応が可能になります。
※金融機関によっては、その他の書類を求められる場合もあります。

④相続人の中に判断能力がない人がいても手続きができる

相続人の中に認知症や知的障害を患っている人がいる場合は、家庭裁判所へ後見人選任の申立てを行い、後見人に選任された人が各種手続き書類に署名捺印をする必要があります。しかし遺言書を作成し、遺言執行者を合わせて決めておけば、後見人選任の申立てをせずに手続きすることができる場合があります。

⑤相続人の中に未成年者がいる場合も手続きができる

通常、未成年者は、法律行為を行う場合、法定代理人として親権者が署名捺印しますが、相続の場合は、親権者と子供が「利益相反」の関係になるため、別途家庭裁判所へ「特別代理人」の申立てを行い、選任された人が未成年者を代理して署名捺印する必要があります。(親権者が相続人でない場合は親権者の署名捺印で手続き可能です)しかし遺言書を残すことで前記④同様、遺言執行者のみで手続きが可能になります。

近年、相続法が改正され、自筆証書遺言に関しても制度が大きく変わり、2019年1月13日以降は、財産目録については手書きで作成する必要がなくなりました。例えば、、預貯金の通帳のコピーを添付したり、不動産の明細をパソコンで作成したりすることも出来るようになりました。また、2020年7月10日以降は。法務局で遺言書を保管してもらえる制度も開始し、その制度を利用した場合は、裁判所での「検認」手続きが省略できるようになります。

この機会に、遺言書作成を検討してみてはいかがでしょうか。