「そうなんですね。では知っていることでいいので、いくつか質問させて頂きますね。」
「大二郎様のお兄さんには、お子さんはいらっしゃらなかったのですか?」
「はい。独身と聞いております。主人は、4兄妹の3番目でして、亡くなった方は、長男と聞いております。」主人の上に姉と下に妹がいます。
「なるほど、それで、法定相続人である、大二郎様ご兄弟にこのようなお手紙が来たのですね。」
「ご主人様は、相続放棄をすることを望んでいるのですか?」
「はい。主人と主人の亡くなった兄は、全く行き来をしておりませんで、お恥ずかしい話、この手紙がくるまで、亡くなったことを知りませんでした。」
「相続放棄をするとなると、お兄さんの土地や建物を相続する権利が亡くなりますが、宜しいのでしょうか。売却し、現金化する道もあるかと思うのですが。」
「主人は、かたくなに、他人同然だと言い張っておりまして、相続放棄を望んでおります。」
「分かりました。ご依頼頂ければ、大二郎様とお会いして直接お話をしたいと思います。その上で、手続きを進めれれるかどうか判断し可能であれば手続きを進めることになります。」
「それと、大切なことが1つ。この税務署からの手紙は、いつ頃、受け取ったか分かりますか?
「10月末頃かと思います。」
「消印が10月29日となっているので、10月30日とか31日とかそこらへんでしょうかね」
「えーそうだと思います。」
「相続放棄なのですが、相続放棄は、自分が相続人であるということを知った時から3か月以内にしなければなりません。このお手紙がきて、ご主人のお兄さんがなくなったことを知り、自分が相続人であることを知ったことになります。今日は、1月18日なので、今月末には申立てしなければなりません。」
「はい。そうみたいですね。面倒でつい後回しにしてしまっていて、つい先日主人の和歌山の妹に言われて、それで急いで駆け込んだ次第です。どうかよろしくお願いします」
「あのー費用なのですが、いくらくらいになりますか」
「通常3万円~になります。」
「はい。承知いたしました。何卒宜しくお願い致します。」
「できる限りのことはさせて頂きます。まずは、ご主人様のご入院されている病院名と主治医の先生を教えて下さい。
「セントラル病院の熊木先生です。実は、末期のガンでして、余命あと半年といわれております。私は、仕事をしておりまして、先生と一緒に行けないかもしれません。」
「大丈夫です。こちらで病院に電話してから行きます。桜木さんの方では、旦那さんの病院には、私から電話する旨と、旦那さんには、司法書士の神咲が行く旨伝えてくれると助かります。」
つづく