12月10日 17時
ドアをノックする音が聞こえた。会議室に通し、名刺交換をする。
「早速ですが、先日のお電話で株式会社を設立したいとのことですが、ある程度会社の種類をお
調べになり、株式会社を選んだのですか」
「えー。多少調べました。親には、合同会社でいいのでは。と言われていたのですが、2年かか
ってようやく親を説得できました」
「株式会社を選んだ理由を教えてもらえますか」
「えーやはり、知名度もありますし、取引先も株式会社の方が安心するようですから大きな仕事
も増えるのではないかなという期待もあります。」
「それに、今個人事業主として看板を作ったり、写真を引き伸ばし加工したりしています。
自分の娘の3歳の七五三で、写真を大きく引き伸ばしてかなり大きなパネルを作って、
試しにホームページに載せたら、同じように小さなお子さんがいるご家庭から注文を頂くように
なって。七五三時は、多くの受注を頂けるようになりした。七五三だけでなく、ペットの写真と
かドローンで撮影した写真とか。年間を通して、ホームページから受注を頂けるようになりまし
た。売り上げが伸びてきて、それで、税理士さんから法人設立のアドバイスを受けたことも株式
会社設立の理由の一つで、何より親が納得してくれた理由です。」
「写真をパネルに。いいアイディアですね。お子さんの七五三の着物姿とか。確かにパネルにし
たい親御さんは、多そう。理由の説明ありがとうございます。よく理解できました。」
「伊藤さんは、すでに株式会社を設立ということでご意思が固まっているようなので、他種類の
会社の説明は省き、株式会社の仕組みと、設立の手続きの流れをご説明をしようと思います。
もうお調べ済みで不必要な説明部分はありますか?」
「いえ。ぜひ説明お願いします。本は、一度買ってみたものの、最初のページだけで挫折してし
まって。お恥ずかしい話、そもそも法人の意味すらよく分からなくて。上条先生にその話をした
ら、神咲先生のところなら詳しく教えてくれると聞いて、紹介してもらったのです。」
「ありがとうございます。恥ずかしくなんてないです。私も、全然わからなかった」
「では、法人の説明からはじめますね。」
つづく