株式会社設立 3/10

「会社というのは、法の人と書いて「法人」といわれますが、法律的に「人格」を与えられたものです。人と同じように権利を有し義務を負います。会社名で契約を結んだり、裁判の当事者になることができます。簡単にいうと、法律によって認められた「ヒト」です。

「はー」

「とはいえ。業務を執行してくれる人がいないと、名ばかりの法人になってしまいますよね。だれかが業務をしないと人の存在なしには、会社は機能しません。では、誰が会社を動かしていくのかについては、株式会社の仕組みをお話しながら説明しますね。

株式会社というのは、対外的活動によって収益の増大を図ることが目的です。そのためには、費用が必要です。そこで、出資を募ります。出資した者は、見返りとして会社に利益がでれば、収益の分配を受けることができます。

例えば、伊藤さんが300万円集めて、それを元手に少しずつ会社を大きくしていきたいと考えたとします。この300万円を集めるために、資金調達の単位を細かくします。

例えば出資の単位を1口10万円とするよりは、1口1万円とした方が、出資しようかなと思ってくれる人は、現れそうです。この調達資金を細かくした単位を株式といって、出資する人のことを株主といいます。例えば、1株を1万円として出資を募り、300万円集まれば300株の株が発行されます。100万円出資した人は、100株所有。10万円出資した人は10株所有することになります。原則としてより多くの株式を持っている人が、分配金も多く受け取れますし、会社の経営に関する発言権も強くなります。そして、この株式を持っている人つまり、株主ですね。1株でも持っていれば株主です。この株主こそが会社の所有者です。

「えっそうなんですね。あの、僕これから会社を作ろうと思っていて、会社は僕のものと思っていたのですが、僕が株主にならなければ会社は僕のものではないのですね」

「えーただ、伊藤さんは、株式会社を立ち上げようとした発起人です。発起人は必ず1株以上引き受けなければなりません。なので、会社設立後は、株主になります。」

「株主が会社の所有者だということがよく分かりました。それでは、会社を経営していくのは誰なんですか?」

つづく

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