「だいたい、当事務所の報酬と実費が、資本金500万円なので、登録免許税15万円と定款の認証費用が5万円ほどです」
「実費で約20万円もかかるんですね。」
「そうなんです。」
「でも、登記のお願いできますか」
「えーもちろん。ありがとうございます。家族とお話になるときに、このチェックシートもご持参下さい。会社を設立するにあたり、会社の名前を決めたりとか決めるべきことがたくさんあるので、わかる範囲で、ご記入ください。あっ、それと設立日のご希望ありますか」
「そう急いではないのですが、娘の誕生日が1月15日なので、その日がいいなぁと思っています。」私は、慌ててカレンダーを確認する。あっよかった。平日だ。
「承知しました。娘さんの誕生日と会社の誕生日が一緒なんて素敵ですね。」
「ありがとうございます。家族と話しあって、またご連絡します。」
「はい。お待ちしております。」
時間は18時30分になろうとしていた。
早速、珈琲を2人分入れ、一息つきながら兄に報告する。兄もうなずきながら聞いていた。
「10年もつ会社になって欲しいね。」
会社は、10年続かないで解散してしまうことがほとんどなのだ。
それから一週間後、伊藤さんから連絡があった。家族と話し合って、いろいろ考えた。と。
結局は、出資も、取締役も伊藤さん1人ですることにしたらしい。3日後に、再度来所してくれることになった。
12月20日
チェックシート埋めてきました。電話でもお話した通り、出資も取締役も自分一人で、弟は、当面従業員として働くことになりました。父は、役員にも従業員にもならないとのことでした。そのほか2人の従業員入れて、4人スタートです。
「いい話し合いできました?」
「えー。父も母も弟も、僕の話をよく聞いてくれました。弟は、経営に興味があるわけでもなく、職人として今の仕事をしたい。と。株のことも話したのですが、父も弟も、僕一人が株主の方が都合がいいのでは。ということになって、まずは、一人で出資することになりました。もともとそのつもりだったですし。」
「承知しました。」
「それでは、今から設立手続きの流れをご説明しますね。」
まず、会社の定款を作成します。それから、定款の認証をして、出資金の払い込みをして会社設立登記を申請します。会社の設立登記は、人でいう戸籍の届け出、出生の届け出みたいなものです。
「今から、定款を一緒に考えていきましょう。定款というのは、会社の憲法みたいなものだと思って下さい。まずは、チェックシートを拝見させていただけますか?」
つづく