あれから2週間ほど経ち早瀬さんから、以前渡した遺言書チェックシートが埋まったと連絡がきた。1週間後に今度は、こちらから早瀬さん宅に伺うことになった。
1週間後
早瀬さん宅へは、兄と車で行く事になった。
「ねぇ。お兄さん。車停めるとこあるのかな?」
「うん。家の門を車で通り抜けて玄関先に停めてって言われてる」
事務所から約40分。迷うことなく早瀬さん宅に到着した。大きな門構えがあり、そのまま車で入っていくと、玄関が見えてくる。
「敷地広いねぇ。公園みたいだ。」
車から降りると、エンジン音が聞こえたのだろう。早瀬さんが出てきてくれた。
「今日は、わざわざご足労いただきましてありがとうございます。」
「ご無沙汰しております。立派なご邸宅ですね。」と兄。
つい見とれてしまう。庭師が入っているのだろう。庭の手入れも行き届いている。
「父から引き継いだ家で。父も父から受け継いできて。さぁ、どうぞお入りください。」
早瀬家の中に入れて頂くと、玄関から一番遠いリビングに通された。
早瀬さんが飲み物を入れてくれ、席に座ると、早速本題に入った。
「この前、先生のところで頂いたチェックシート、できる限り埋めてみました。今回、家のこと、考えるいいきっかけになりました。遺言って財産だけじゃないのですね。主人にも相談しました。」
「今日は、ご主人は?」
「はい。一緒に同席してもらいたかったのですが、私の遺言なんだから、自分はいない方がいいだろうって、出かけてしまいました(笑)」
さっそく、チェックシートを見せてもらう。
内容は、下記の通りだ。
不動産 ご自宅の土地・建物 ・・・・・・・・・・・・次男(達彦)
都内の収益物件(マンション1室)・・・・・・夫(真)
別荘(蓼科)(土地・建物)・・・・・・・・・売却して自分の老後費用
預金 A銀行(約5000万)
B銀行(約3000万)
C銀行(約2000万)
株式 D社(約1000万)
E社(約1500万)
祭祀主催者 次男
「預金と、株式の財産の引継ぎ先は、どのようにお考えですか。」
「はい。株式については、売却して現金にし今後の老後費用に充て、あとは、長男の嫁(奈々子)に1000万。残りは、子どもと孫(亡長男の)に法定相続分通りに分けてもらえればと思っております。」
「そうすると現在預金が約1億でそのうち1000万円を奈々子さんに渡すとすると残りは9000万です。その9000万円をお子さん及び長男の孫に法定相続分どおりに分けるとするとこんな感じになります。お間違いないですか?」
①長女(理子)2250万
②次女(舞子)2250万
③次男(達彦)2250万
④孫(壮太)(亡長男の長男)1125万
⑤孫(咲良)(亡長男の長女)1125万